渋谷にて

motoeri2005-05-12

シアターコクーン蜷川幸雄演出、大竹しのぶ主演「メディア」を観た。席が前から三列目で、こんな近くで大きな舞台観るのは久々だ、と楽しみに。で、席に着いたらビニールシートが置いてあった。しまった!・・そういえば、蜷川の舞台って、よく前の方のお客さんがシートでなんか避けたり、この前も頭の上にありえないくらいの量の雪を積もらされていたっけ・・ついに濡れちゃうのね、私も。とかなりどきどき。いつ水を使うんだろうと幕開きからしばらく気づかなかったのだが、何のことはない、常にビニールシートを待機させないとオチオチ見れないほど、水のしぶき満載だった・。
「メディア」は、以前ギリシャの人たちがやったのを観たけど、イヤホンガイド借りそびれて、言葉は全然わかんないけど、状況とか厳かに鬼気迫るものは感じた・・という印象だった。今日のは、言葉がざっくざっく頭の中に残り、恐いほど。蜷川さんが、「大竹しのぶさんのすばらしさは、翻訳劇だと感じさせないこと」と言っていたけど、それは確かにすごいそうで、どこかの異国のお話を聞いてるんじゃなくて、今、まさにここに存在している女の苦しみ・悲しみ・怒りが、バンバン伝わってきた。近くでみたらホント鬼気迫ってた。全然不条理でなくその女の苦しみがわかってすげー。以前、「バッコスの信女」というギリシャ悲劇を、外国の方(RADAの人)の演出で(コロスを)やったことがあって、でも、どうしてもなんか「そんな大げさな〜!」という気分に・・というか、「おいおいやりすぎだよー」という心理が(お話の中の人に対して)働いちゃってたんだけど、いやはや、この「メディア」は、説得力・強。
「悲劇」な状態に酔ってないとこが、一番すごくてよかった。